かんとくの日記

Gooブログ移民。東京在住会社員の音楽・演劇・本・旅などのゆるゆる備忘録。 Since2008

森永卓郎『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』(フォレスト出版、2024)

書いてはいけない――日本経済墜落の真相 作者:森永 卓郎 フォレスト出版 Amazon 昨年(2025年)の1月に他界された森永卓郎氏の遺作とも言える一冊。2024年3月初版であり、既に病気と闘っていた氏があとがきで「遺書でもある」と書いた一冊である。地元の図書…

鄭義信『焼肉ドラゴン』(角川文庫、2018)

焼肉ドラゴン (角川文庫) 作者:鄭 義信 KADOKAWA Amazon 昨年、私にとって最も印象に残った公演と言える「焼肉ドラゴン」の文庫本があることを知り読んでみました。舞台が2008年初演で、文庫化が2018年なので、映画化(2018年)に合わせて出版されたもののか…

斎藤ジン『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』(文春文庫、2025)

世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ (文春新書) 作者:齋藤 ジン 文藝春秋 Amazon 最近、読書記録の記事を全然アップできていないのだが、細々と通勤読書は続けているので、雑な感想文としてとりあえずアップ。 本書は職場の同僚のお勧めで…

村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮社、1985)を再読!

書棚から単行本と文庫本を引っ張り出してきた 近く「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の観劇に行く予定があるので、30年以上ぶりに原作を読み返してみた。 学生時代に貪り読んだ物語で、当時は「村上春樹の中でも特に好きな作品」と位置づけて…

コンパクトに人事の実践と理論がまとまった良書: 高倉千春『人事変革ストーリー 個と組織「共進化」の時代』(光文社新書、2023)

人事変革ストーリー~個と組織「共進化」の時代~ (光文社新書) 作者:高倉 千春 光文社 Amazon 著者は、コンサル会社、外資系企業、日系企業と人材マネジメントの世界を渡り歩いてきた人事のプロ。自らの人事・組織変革の歩みと経験をもとに今、そしてこれか…

津田建二『エヌビディア 半導体の覇者が作り出す2040年の世界』(PHP研究所、2024)

エヌビディア 半導体の覇者が作り出す2040年の世界 作者:津田 建二 PHP研究所 Amazon 科学ジャーナリストがエヌビディアを中心に半導体業界について広く浅くレポートする一冊。同社の創業から現在までの成長の歩み、強みについての記述をコアに、日本の半導…

人類とエネルギーの関係史: 古舘恒介『エネルギーを巡る旅』(英治出版、2021)

エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来 作者:古舘恒介 英治出版 Amazon 参加している読書コミュニティでの課題本でした。 環境問題、原子力発電問題など、世界的・地球的な課題について、エネルギーと人間の関係史の視点から人類史的スケールで捉…

冨山和彦『ホワイトカラー消滅: 私たちは働き方をどう変えるべきか』 (NHK出版新書、2024)

ホワイトカラー消滅 私たちは働き方をどう変えるべきか (NHK出版新書) 作者:冨山 和彦 NHK出版 Amazon 冨山氏の著作は過去に数冊読んでいますが、舌鋒鋭く日本の旧システムの改革に切り込む姿勢、議論の切り口、そして内容に、多くを学んできました。 本…

11ヶ月かかってやっと半分読了: 角田光代[訳] 『源氏物語』(1~4)河出文庫

源氏物語【全8巻】セット (河出文庫) 河出書房新社 Amazon 今年1月から『源氏物語』を1週間で1帖づつ、1年ちょっとかけて読み進めようというオンラインのコミュニティに参加している。昨年、大河ドラマ「光る君へ」を見て、源氏物語の世界を覗いてみたいと…

宮島未奈『それいけ!平安部』(小学館、2025)

それいけ! 平安部 作者:宮島未奈 小学館 Amazon 宮島未奈さんの作品を読むのは成瀬シリーズの2冊と『婚活マエストロ』に続いて4冊目。今回は高校入学したての女子高生を主人公に、彼女達が新しく創設した「平安の心を学ぶ」平安部の立ち上がりエピソードを…

伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社新書、2015)

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書) 作者:伊藤 亜紗 光文社 Amazon 初版が2015年で、私が購入した版は2023年刊で23刷。継続して売れている本である。 目の見える筆者が目の見えない人に対して行ったインタビューを通じて、視覚障害者がど…

シーナ・アイエンガー 櫻井祐子/訳『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』(文春文庫、2014)

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫 S 13-1) 作者:シーナ アイエンガー 文藝春秋 Amazon 友人のお勧めで手に取った一冊。著者は両親がシーク派教徒のインド系移民の子で、1972年にアメリカ移住している(著者は69年生まれ)。高校…

記者目線での日本半導体復権は?:久保田龍之介『半導体立国ニッポンの逆襲 2030復活シナリオ』(日経BP、2023)

半導体立国ニッポンの逆襲 2030復活シナリオ 作者:久保田 龍之介 日経BP Amazon 半導体のお勉強3冊目。3冊目ともなると、自分のなかにそれなりの枠組みができるので、類似書との立場や考えの違いが分かってきて面白くなってくる。 本書は、日経のテクノロ…

質量充実の解説書: 湯之上隆『半導体有事』(文春新書、2023)

半導体有事 (文春新書) 作者:湯之上 隆 文藝春秋 Amazon 半導体のお勉強用の2冊目。 新書ではあるものの、内容は質量ともに充実していて読み応えあります。私には理解できてないところもありますが、筆者自身が半導体技術者であっただけに、技術の記述も詳…

W.シェイクスピア 松岡和子 訳『リチャード三世』ちくま文庫、1999年

シェイクスピア全集 (7) リチャード三世 (ちくま文庫) 作者:W. シェイクスピア 筑摩書房 Amazon 明日から始まる松岡和子さんが講師を務める『リチャード三世』の講座(朝日カルチャーセンター)にオンライン参加するので事前に読んだ。 話に聞いたことがあっ…

W .シェイクスピア、 松岡和子 訳『十二夜』ちくま文庫、1998年

シェイクスピア全集 (6) 十二夜 (ちくま文庫) 作者:W. シェイクスピア 筑摩書房 Amazon ロンドンで本劇を一度見る機会があってとっても楽しんだ。今回、東京グローブ座で舞台公演があると知り、是非また観てみたいと思い、予習として読み始めた。が、チケッ…

半導体入門にとっても良い:高乗正行『ビジネス教養としての半導体』幻冬舎、2022

ビジネス教養としての半導体 作者:高乗 正行 幻冬舎 Amazon 半導体産業、業界については、マスコミやネット記事で散発的には目にしているものの、ぐちゃぐちゃになってインプットされているので、一度基礎から整理しておきたく、本書を読んでみた。 著者がこ…

内田和成『右脳思考』(東洋経済新報社、2019)

右脳思考 内田和成の思考 作者:内田 和成 東洋経済新報社 Amazon 左脳を活用した論理的思考だけでなく、「感覚・感情、直感、勘など、論理(ロジック)では説明できないひらめき・思い付き・考え」の総称である右脳を活用した思考(右脳思考)で、仕事をより…

読書と働き方の興味深い分析! 三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書、2024)

なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) 作者:三宅香帆 集英社 Amazon 日本人の読書について、歴史と働き方の関連で解きほぐす一冊。内容充実の読書論であり、働き方論であり、社会論である。引きまれて一気に読んだ。まず感心したのは、日本人…

伊藤亜紗『感性でよむ西洋美術』(NHK出版、2023年)

NHK出版 学びのきほん 感性でよむ西洋美術 (教養・文化シリーズ) [ 伊藤 亜紗 ]価格: 792 円楽天で詳細を見る 先日、筆者の伊藤さんの「利他」についての講演ビデオを視聴する機会があった。視覚障碍者とのコミュニケーションを通して、「利他」について考…

レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書、2022)

ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書) 作者:レジー 集英社 Amazon レジー『東大生はなぜコンサルを目指すのか』が現代社会論として興味深かったので、同著者の別の著作を読んでみた。 著者は、「ファストフードのように簡単に摂取でき、「ビ…

成長物語としても、ノウハウ集としても面白い!:メン獄『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』(文藝春秋、2023)

コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル (文春e-book) 作者:メン獄 文藝春秋 Amazon 先般読んだレジー著『なぜ東大生はコンサルに行くのか』の中で多く参照されていたので、手に取ってみた。 新卒で入社し12年間を過ごした外資系コンサルティング…

「サッカー選手が書いた自己啓発書の金字塔」は本当だった!:長谷部誠『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』(幻冬舎、2011年)

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 作者:長谷部誠 幻冬舎 Amazon 先日読んだレジー著『東大生はなぜコンサルを目指すのか』の中で、「サッカー選手による自己啓発書の金字塔」との紹介に魅かれて読んでみた。2011年3月発刊なので15年近く前のも…

賛否が同居する微妙な一冊: 海老原 嗣生『静かな退職という働き方』(PHP新書、2025)

静かな退職という働き方 (PHP新書) 作者:海老原 嗣生 PHP研究所 Amazon 読んでいて自分の中で賛否両論が渦巻く本だった。 「静かな退職」とは「会社は辞めるつもりがないが、出世を目指しがむしゃらには働きはせず、最低限やるべき業務だけをやるだけの状態…

なるほど感が満載: レジー『東大生はなぜコンサルを目指すのか』(集英社新書、2025)

東大生はなぜコンサルを目指すのか (集英社新書) 作者:レジー 集英社 Amazon 若手に現場経験を積ませるという趣旨で、親会社から新卒社員(東大卒ではない)を3年間お預かりして、立派に成長させて、昨年無事親会社に戻した。その彼が、最近、親会社を1年で…

とっても良書でおすすめ:倉本圭造『論破という病 「分断の時代」の日本人の使命』(中公新書ラクレ、2025)

論破という病 「分断の時代」の日本人の使命 (中公新書ラクレ) 作者:倉本圭造 中央公論新社 Amazon 「立場を超えて協力し合う視点をいかに共有するか?」(メタ正義感覚)という課題感の元、「思想」と「社会の現場感」の両者を往復して、新しい活路を見出し…

テーマは興味深いが射程広げすぎでは?:渋谷ゆう子『揺らぐ日本のクラシック 歴史から問う音楽ビジネスの未来』(NHK出版新書、2025)

揺らぐ日本のクラシック: 歴史から問う音楽ビジネスの未来 (NHK出版新書 739) 作者:渋谷 ゆう子 NHK出版 Amazon 「日本のクラシック音楽文化を芸術とビジネスを両立させながら、いかに育んでいくか」について、過去から現代に至る歴史軸とクラシック先進国欧…

職場あるあるのオンパレード!:今井むつみ『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策』(日経BP、2024)

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策 作者:今井むつみ 日経BP Amazon 著書のことは、岩波新書の『学力の喪失』(積読中)やパネラーとして参加されていた組織人事系のセミナーを聴講して知っ…

刺激的な一冊: 橘玲『テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想』(文春新書、2024)

テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想 (文春新書) 作者:橘 玲 文藝春秋 Amazon 筆者は、自由原理主義の政治思想と高い論理・数学的知能(Systemizing Quotation: SQ)の2つを合わせ持つ少数のハイパー・システマイザー達のことをテクノリバタリアンと…

読み易いが「病」についての深い一冊: 宮野真生子、磯野真穂『急に具合が悪くなる』(晶文社、2019)

参加している読書コミュニティでの課題図書として読みました。軽い装丁、往復書簡という読みやすい形態なのですが、「生死」についての哲学的な考察です。 出版社による紹介「哲学者と人類学者の間で交わされる「病」をめぐる言葉の全力投球。 共に人生の軌…